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3人家族  その10 [3人家族]

第25話
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今日は健(あおい輝彦)の大学の入学式。
耕作(三島雅夫)に買ってもらった革靴を磨いて行進の真似をする健。
耕作「育たないなあ、お前は(笑)」
健 「え?」
耕作「小学校へ入った時も、新しい靴履いておんなじ事してたぞ」

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一方、明子(沢田雅美)の女子大は学生運動の煽りで入学式も延期したまま。

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明子からの手紙を読んだ兼一(森幹太)がアラスカから帰国し、羽田から電話して来た。
明子は母・キク(賀原夏子)にバレないようにホテルで会うことにする。

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沢野「出かけたんですか、彼は?」
敬子「いえ、まだ・・・」
沢野「いつ?」
敬子「15日です、今月の」
沢野「あと一週間か・・・」

沢野「恋人はいないとあなたは言った」
敬子「・・・」
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沢野「しかし、いた。・・・そうなんでしょ?」
敬子「はい」

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沢野「2年間、お別れの恋人か。」
敬子「すいませんでした」

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沢野「ふっ(苦笑)。謝る事はない。 しかし何故いないと言ったのかな?
    僕を釣るために?」
敬子「ひどいわ」
沢野「もちろんそうは思わないけど、その位の恨み事は言いたくなるな」

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敬子「好きになるまい、と思っていたんです。
    だから「いない」って言ったんです。」
沢野「そういうのが一番いけないんだな。 惚れまいと思っていると
    余計に惚れちゃうんだ」

沢野「未練たっぷりだが、あきらめますよ」
敬子「・・・」
沢野「僕の入り込む余地は無いらしい」
敬子「・・・」
沢野「しかし2年は長いからね。その間に気が向いたら電話下さい。
    好きになってくれとは言わないが、御馳走くらいはしますよ」
敬子「・・・ありがとうございます」

沢野「馬鹿だなあ、あなたは。」
敬子「は?」
沢野「2年間もあなたを放っておく奴を好きになるなんて、馬鹿だ!。
    僕はね、物分りの良い男じゃないんだ本当は。
    2年間、恋人が遠くにいるなんて人には特に闘志が湧く。
    自分でもどうしようもないくらいしつこいんだ。」
敬子「・・・」
沢野「あきらめませんよ僕は」
敬子「・・・」
沢野「いや、あきらめる。一応はあきらめる。
    しかし言っとくが、僕の存在は時が経つほど大きくなって行く。
    結婚して亭主に馴れて来る。自分の青春は何だったのかと考える。
    その時、僕の事を想い出す。
    「あれ程、自分を求めてくれた人はいなかったんじゃないか?」」

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敬子「バカにしないで下さい!」
沢野「・・・」
敬子「さようなら。いろいろとありがとうございました。」

沢野「敬子さん!」
車から出ようとする敬子の手を掴む沢野。
敬子「離して下さい」
沢野「もっとカッコ良く別れたかった。 ふふ、ふふふ(自嘲)」
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敬子「さようなら」

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沢野「・・・(苦い)」


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同僚の佐藤が結婚すると聞いて、自分も2年後に結婚すると伝える雄一。

雄一「我ながらちょっと照れるがな、好きなんだよその人が」
佐藤「そりゃ、そうだろう(笑)」
雄一「好きな人と一緒に暮らしたいんだ。それだけなんだ」
佐藤「そりゃまたお前らしくないな(笑)」
雄一「惚れるべきか・抑えるべきか・結婚すべきか・せざるべきか。
    べきかべきかに飽きちゃったんだな」
佐藤「お前がそんな事、言うか(笑)」

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雄一「は(笑)。好きだから結婚する。それだけ。それしかないのが馬鹿に良い気分さ」
佐藤「お前もやっと年ごろか(笑)」
雄一「結局、俺は参っちゃたんだな。
    好きになって何だか分からなくなっちゃった。」
佐藤「そりゃおめでたいや、ハハハハハハ(笑)」
雄一「ああ、全く春だなあ。春や春。spring has come.だ」
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佐藤・雄一「ハハハハハハ(笑)」
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笑い続ける2人を振り返って見る人々。 春である。

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一方、耕作へ会いに行こうとする吉本(江幡高志)をハル(菅井きん)が呼び止めて
耕作の再就職先に関する企みを暴露し、詫びの手紙を書かせる。

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明子と会った兼一はキクに叱られてもいいから復縁したいと思う。

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入学式から帰宅した健と耕作は妙な手紙を読む。
ハルが吉本の企みを阻止したと知り、感謝する耕作たち。

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その頃、雄一と敬子は別れの日まで7日足らずの夜を
ひと時ひと時、惜しむように、愛おしむように過ごしていた。
                        (ナレーション:矢島正明)

「その10」、遅くなりすみませんでした。 あと1話か・・・。

3人家族  その9 [3人家族]

第24話
アラスカにいる別れた夫・憲一(森幹太)からの手紙に動揺するキク(賀原夏子)。

復縁を求める夫の自分勝手に腹を立てるというよりは、
そんな男の勝手を許しかねない自分の孤独に腹を立てていた。
                        (ナレーション:矢島正明)
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深夜に帰宅したキクを敬子が起きて待っていた。
敬子「・・・やっぱり、柴田さんがいいの」

母親らしく敬子の気持ちに気づいていたキクだが、娘たちが離れて行って
しまうような寂しさもあり、敬子と口論になってしまう。

キク「2年間、待て、ってのかい? いっぺんも会わずに2年間?」
敬子「待て、っていうんじゃないのよ。 待つ、ってあたしが言ったの」
キク「馬鹿っ!」
敬子「馬鹿でもいいの。好きなんだからいいの。」

敬子と雄一の事で耕作(三島雅夫)の会社を訪ねたキクは今日で耕作が定年と知る。
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身の回りの不用品を焼却していた耕作はキクの訪問に驚く。

キク「お宅の御長男とうちの娘、とうとう、約束しちゃいました」
耕作「ええ!」
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キク「定年の日にこんな事言いたくありませんけど、
   2年間、日本を離れるって人がどうして土壇場でそんな約束なんか
   するんでしょう?
   もうちょっとの間、自分を抑えててくれれば娘だって諦めたんじゃな
   いかと思って」

耕作「そうですか、約束をねぇ」 嬉しそうな耕作。

キク「今更いけないって言ってみたって言う事を聞くような2人じゃなさそうですし
   せめてあの、口約束だけで、それ以上の事は無いように、あの、あなたの
   方からも、あの・・・」
耕作「そりゃそうですとも。そんな事はもちろん雄一だって知ってますよ。
    や、私からも言っておきましょう」
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耕作「約束をねぇ・・・」 感慨深げな耕作。

キク「親なんてつまんないもんですねぇ。下の娘だってもう19ですもの。
   じきに結婚してどっか行っちゃう。そうすれば、私は死ぬまで一人・・・」
耕作「はっはっはっ。しかしまあ、子供がいた事で楽しい思いもしたんだから・・・」

お互いの誤解もわだかまりも解けた良いシーンでした。


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敬子「・・・だからたぶん今日か明日、母がお訪ねすると思うけどあなたを」
雄一「話してみるよ、よく」
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敬子「母がまた強い事言っても、撤回しちゃいやよ約束」
雄一「はは(苦笑)、信用無いんだな」
敬子「そう、信用してないの。
    あなた仕事半分・恋愛半分、一緒だもん」
雄一「はは(苦笑)、悪いの選んじゃったな」
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敬子「でもいいの。 そういう人だからあなたが好きなの
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雄一「大きいよ、声が」
敬子「あら、好きな人、好きだって言うの・・・」
雄一「分かった。(周囲を見回し)すごいよ、この頃の女性は」

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父に「アラスカに来い」と言われてる、と言う明子に「父を訪ねて三千里か」などと
健が言っていると
明子「ねえ、あたしの事、どのくらい好き?」
健 「え?どのくらいって・・・」
明子「好き・恋してる・愛してる・死ぬ程愛してる、この内どれ?」
などと詰問され、こちらも押され気味。

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社員食堂で100円のカツ定食を食べる耕作とキク。
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社食のいつもの席で会う社員に今日で定年である事を告げると
その場の全員から声を掛けられる。

「課長、お元気で!」 「課長、お元気で!」
「ありがとう・・・ありがとう」       今回のクライマックス・シーン。
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その夜。
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37年間、同じ道を通った工場だもんな、と耕作が感慨に耽る。

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耕作「とにかく課長にしてくれたもの、定年の前の年にもせよ。
    別れる時にはみんな「課長、お元気で」だからな」
雄一「うん」
耕作「お父さんの時代は終わったよ。今度はお前たちだ」
雄一「気の弱い事、言わないでよ」
健 「そうだよ、平均に生き延びたって、あと14年は生きるんだよ?」
雄一「馬鹿っ。14年で死んでたまるか」
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健 「あっ、そりゃあそうだけど、失言だったなこりゃあ」
耕作「はっはっはっは」

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耕作「雄一」
雄一「ん?」
耕作「エジプトへ行く前に、一度、お父さんに会わせろよな」
雄一「誰を?」
耕作「誰を?ってことは無いだろう」
健 「そうだよ兄さん、今になって白ばっくれること無いよ」
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雄一「(健に)何だよ?」
健 「お嫁さんさ」
雄一「馬鹿っ」
耕作「決まったそうじゃないか」
雄一「え?」
耕作「約束したんだってな」
雄一「そんな事、誰に聞いたんです?」

 と言いつつ、動揺して徳利の酒を倒してしまう雄一。
 「あ~、ダメだよ兄さん」などと慌てて布巾で拭く健。

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しかし健は雄一に「馬鹿っ」と言われながらも良くアシストしますね。
今度、全話を通して雄一が健に何回「馬鹿っ」っと言ったか数えてみよう(笑)

雄一「知ってたの?お父さん」
耕作「うん、今日、会社へお袋さんが来たよ」
雄一「会社へ?
    何て言った?お父さんに」
耕作「今更どう叱ってみたって仕方が無いって言ってな、怒っていたよ」
雄一「そうか・・・お父さんの所、行っちゃったのか」
健 「僕の方は妹からの情報でね。
   とにかく兄さんが何やったって筒抜けなんだから。へへっ。」

雄一「悪かったよ。言おう言おうと思ってたんだけど」
耕作「うん」
雄一「こんな時に結婚の話なんて、正直言って困るんだけど
   あの人を他の人に取られるのは、やっぱり嫌なんだ」
健 「抜け抜け言うね、兄さんも(笑)、ははっ」
雄一「向こう行ってろ! お前は!」
健 「そりゃヒドイよ! 僕だって随分心配したんだからね」
耕作「とにかく、会いたいもんだな一度」
雄一「ええ」
耕作「他の事はお前を信用して何にも言わん」
雄一「大丈夫だよ。僕だっていろいろ考えた上だから」
耕作「ああ」
健 「おめでとう、って言うのかね?」
耕作「そりゃそうさ、縁談だもの」
健 「はははっ。 兄さん、おめでとう」
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雄一「ふん。大人をからかうんじゃないよ」

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定年の夜、息子の婚約を聞く。
とうとう自分にもそんな役割りが回って来たか、と思いながら
まだ耕作にはその役割りが馴染めない気持ちであった。
とにかく子供をここまで育てた。
後は自分の生きたいように生きる。

冒険もしてみよう。 楽しんでもみよう。
傍目には滑稽かもしれないが、そんな欲望がまだ耕作の心に残っていた。
いや、定年になってみて改めてそんな欲望に目覚めたような気持ちであった。
                         (ナレーション:矢島正明)

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柴田家へのわだかまりが解けて、キクと敬子も和やかな雰囲気に。
キク「だからお母さん、もう何にも言わない。
    良いようにやりなさい。お前を信用する他ないもの」」
敬子「ありがとう」
明子「良かったね、お姉さん」

キク「いきなり2年間会えないなんて大変な事だよ」
敬子「貯金下ろせばエジプトくらい何とか行けるわ。」
キク「何とかったってお前・・・」
敬子「航空会社、勤めてるのよ?
   2年間全然会わないなんてそんな事、絶対しないわ」
明子「あ、成る程ね。それでなきゃいくら好きでもね」

キク「一度、連れてらっしゃい。お母さんも話したいの」
敬子「(笑顔)ええ」
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だが話が夫・憲一の事に及ぶと頑なになってしまうキク。
母親である自分だけでは不足だったのか、と強い口調になってしまう。
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明子「お父さん。帰って来て下さい。
    明子だってお姉さんだって、もちろん、お母さんが一番、
    お父さんのお帰りを待っているんです」

Thanks to にわかコマキスト 様

3人家族  その8 [3人家族]

第23話

健(あおい輝彦)が大学合格祝いとして買ってもらったステレオの音に感激してる頃、
雄一(竹脇無我)と敬子(栗原小巻)は「横浜ドリームランド」にいた。
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遅ればせな「恋」であった。
別れの日が近いことが、二人をなお、離れ難くしていた。
心の飢えを満たそうとするように二人は貪婪に二人だけの時間を楽しもうとしていた。
                          (ナレーション:矢島正明)
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その頃、耕作(三島雅夫)は先日、競輪場で再会したかつての部下・吉本から
会社に工場拡張の資金100万円を出資し、重役として参加する案を持ちかけられる。
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偶然、喫茶店に居合わせたハル(菅井きん)が聞いていた。

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「重役」という言葉が疲れた耕作の耳に心地良く、目を閉じてその誘いに乗りたかった。

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「目を閉じて」と言えば、雄一と敬子もある意味では目を閉じていた。
二人は間も無く来る「別れ」と別れた後の二年間の離れ離れの生活について
努めて触れまいとしていた。

考えても仕方が無い、ともあれ好きなのだから。
現在はその心を燃やすほかはない。
それが二人の暗黙の了解であった。
開き直った思いであった。

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じっと見つめる雄一の視線に「そんなに見てはいやです」と恥じらう敬子。
カイロへ出発する日が来月の15日と予想より早くなったため、敬子の顔を
よく見ておきたくなったのだ。

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敬子「どうしたらいいんでしょう、私たち」

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雄一「どうしたい?」
敬子「もちろん、二十日経ったらお別れするだけね・・・」

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敬子「本当に私、馬鹿でした。
    どうしてもっと早くあなたを好きって言えなかったのかしら?
    そうすればお別れするまでにもっともっと沢山の時間があったのに」
雄一「それはあなたのせいじゃない、僕ですよ。
    僕がこうなる事を極力、抑えていたからです」

雄一「留学試験を受けたかった。 受けた以上、受かりたかった。
    受かれば外国へ行く事は当然の成り行きです。

    だから、あなたを好きだなんて言っちゃいけなかった。
    最後まで、自分を抑えなくちゃいけなかった。」
 
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敬子「今でもそう思ってるんですか?」

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雄一「だってそうじゃありませんか。
    あなたと親しくなればなるほど、その後の会えない二年間が
    味気無いような虚しいような、そんな気持ちになって行くんです」

敬子「私、この頃、思うんです。
    「二年間くらい何だ!って。 二年間くらい待ってられる!って」

雄一「あなたにとっては24と25の二年間ですよ?
    縁談だって恋愛だって一番ある時じゃないですか」
敬子「でも待てると思うんです。
    ・・・ですから・・・。それはお別れはつらいけど。
    あと二十日しか無くても私、それほど悲しく思わないことにしようって。
    変でしょうか?私の思い方」

雄一「僕はただ今のカッとなった気持ちで二年後の約束をして良いものか?
    と思うだけです」
敬子「二年後の気持ちなんて、私にだって分かりません。
    でも約束もしないでただ二年間お別れするんでは今の気持ちが堪らないんです。

    待ってます二年間。 いいんでしょう?待ってて?
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雄一「ありがとう


確かに二年先の自分の愛情も信じられずにどうして人を愛する事が出来るだろう?
ためらう自分がおかしいのだ、と雄一は思った。
                       (ナレーション:矢島正明)
 
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雄一「二年経ったら、またここへ来ようね」
敬子「ええ」
雄一「その時の僕たちもたぶん、今の僕たちと変わらないと思う」
敬子「たぶん?」
雄一「いや、きっと。 きっと変わらないと思う」
微笑み合う二人。

雄一は自分の愛の言葉の威勢の悪さに呆れていた。
人を愛するという事から何と今まで遠くにいたことだろう。

しかし今は確かに自分は愛の世界にいる。
そう思うまでに何と多くの時間が必要だった事だろうか。
                  (ナレーション:矢島正明)


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ハルは耕作が就職する会社について興信所で調べることにする。

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雄一「じゃあ、また明日の夕方」
敬子「まだ早いけど」
雄一「たまには妹さんと食べてあげなくっちゃ」
敬子「ええ」
雄一「その代わり明日のご飯は僕とですよ」
敬子「もちろん」
雄一「じゃあ、明日、六時半に日比谷公園」
敬子「ええ」
雄一「僕もたまには親父や弟の相手をしないとね」
敬子「もうじきお別れなんですものね」
雄一「うん」
敬子「じゃあ・・・」
雄一「さよなら」
敬子「さよなら」
と、言いつつ動かない敬子に「さあ」と促し歩き出す雄一。

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カツカツという雄一の靴音を愛おしそうに聞いている敬子。
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靴音が途切れ、敬子が振り返ると雄一も振り返って
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雄一「あのねえ」と近づいて来る。
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敬子「え?」
雄一「もう10分くらいこの辺、散歩してから別れようか?」

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敬子「(笑顔)ええ」
雄一「意志が弱くて困るよ(笑)」
敬子「お互いさま(笑)」
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3人家族  その7 [3人家族]

第21話
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健(あおい輝彦)が合格した第二志望の大学の入学手続きの締め切りは今日。
耕作(三島雅夫)から13万5千円の入学金を手渡された健は悩む。
第一志望の合格発表は明日なのだ。

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耕作「何だ、待ってたのか(笑)」
雄一「ここまで来たら、お父さんが何を忘れたか分かったよ(笑)」
耕作「何だ」
雄一「健の入学金でしょ?」
耕作「お前も気にしてたのか(笑)」
雄一「ひどい話だね。片方が合格を発表する前に、片方が入学手続きを
    閉めきっちゃうんだから」
耕作「大学も商売って訳だ。理事会も揉めるさ(笑)」
雄一「やっと健も大学生か・・・」
耕作「最後のひとつが受かってると良いがなあ(笑)」
雄一「うん」

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健 「13万5千円か・・・。」
今日、第二志望の大学の手続きをしないで、もし明日の第一志望が不合格ならまた
浪人なのだ。
だが耕作も定年を迎えるし、この金額は大きい。

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恋人として会うのでは無く、友人として会うのだという言い訳ができると
雄一と敬子は以前よりずっと気軽に会うことが出来た。
あと2ヶ月足らずで最低2年間は会えなくなるのである。
恋人に成り様が無いではないか。
友だちとして会っているのだ。
雄一も敬子もそう言い聞かせながらしばしば気持ちのままに誘い合うのであった。
(ナレーション:矢島正明)


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昼休みに公園でアイスクリームを頼む二人。

雄一「春だなあ」
敬子「本当」
雄一「あなたが一番、春らしいや」
敬子「ま、それどういう意味?」
雄一「あなたの周りが一番、ぽかぽか。 ははっ(笑)」
敬子「馬鹿みたい?(笑)」
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午後からの仕事に遅れないように、腕時計を外してテーブルの見える位置に置く2人。
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雄一「(店員に)ねえ!アイスクリーム急いで急いで!」
敬子「いやですそんな声出しちゃ」
雄一「いや、これは失礼。 ついお里が出ちゃって。へへっ(笑)」
敬子「お里はどちら?(笑)」
雄一「お里は、遠州浜松在!」

  笑い転げる敬子。

雄一は自分でも不思議であった。
こんなにはしゃげる自分が意外でもあり嫌では無かった。

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敬子も雄一の明るさが思いがけなかった。
「いい人なのだ。 本当はこんな風に明るい人なのだ。」
ようやく春めいた昼の日差しの中で二人は先の事を忘れ今の楽しさだけを
忙しく求めていた。

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悩んで結局、第二志望の大学の入学手続きをしなかった健たが・・・。
明子「あめでとう! 受かってたわ」
無事に第一志望の大学に合格。

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健 「おばさん! 受かったよ!」
ハル「まあ! まあ!」
健 「ありがとうおばさん!ありがとう!」
ハル「坊ちゃん、おめでとう(涙)」
健 「くっ・・・(涙)」

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薬屋の洋子が祝いに来るが、明子は「遠くに離れている事が振った方の礼儀」
と非難する。

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雄一の外国への留学。 健の合格。
柴田家の一段落の夜であった。
息子の成長は確かに一つ一つ耕作の肩の荷を下ろした。
しかし定年を控えた耕作には一人立ちして行く子どもたちの姿は
そのまま自分から離れていく姿としても映った。
こんな嬉しい夜にも奈落に落ち込むような孤独が耕作の心を時折かすめるのであった。


第22話
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日曜日、横浜に出かけるという雄一が着ているセーターを見て健は羨ましがる。

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一人で元町へ出かける、と敬子が言った時、沢野からドライブの誘いの電話が。

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二年間も会えないのに愛だの恋だの言ってはいけない、と雄一を非難する沢野。

「本心を言えば、ドライブには行かせたくない」と言い沢野は去って行った。

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恋というものには醜い一面があるのかも知れなかった。
雄一は父親の孤独に目をつぶって家を出た。
敬子は明子の求めを撥ね付けて家を出た。
そして二人で沢野の感情を突き放した。
そうしなければこのドライブは出来なかった。
そんな事が二人の心を妙に弾ませなかった。
(ナレーション:矢島正明)


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敬子「本当に良いセーター!」
雄一「待ってたんですよ、いつ言うか(笑)」

ファッションモデルの様に敬子の前でクルッと回って見せる雄一(笑)
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サマになっている雄一を見て
「お上手! 道を誤ったんじゃありません?」とからかう敬子。
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タバコに火が点かない雄一を見て
「あら・・・風・・・」とコートのエリで風を避ける敬子。
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雄一「ありがとう。 行きましょうか」

「行きましょうか」と言い、「ええ」と答えながら二人は今日のドライブの行き先に
ついて何も話していなかった。
二人ともそれに触れるのを避けているかのように、どこへ行くかを話さなかった。
車が勝手に来た、というような感じでここまで来た。
運転する雄一自身、何かに操られているような気持ちであった。

芦ノ湖を右手に観たが芦ノ湖へは降りなかった。
富士山、駿河湾を見下ろす道を車は伊豆に向かっていた。

雄一はただ遠くへ行きたいという思いに駆られていた。
芦ノ湖へ降りればそこがドライブの終点になるような気がした。
それが嫌でこの道を選んだ。

敬子は口を挟まず逆らわなかった。
雄一の感情が感染るのだろうか?
同じように敬子もいつしか遠くへ行きたいという思いに囚われていた。

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雄一は休まずに走った。
遠くへ走ることで何物かを振り捨てる事が出来るかの様に走った。
自分を縛っている野心や分別、仕事・気後れ、多くの物から離れることが
出来るかのように走った。

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雄一「帰らなくちゃいけないな」
無言で砂浜を歩く敬子。

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夕飯が五時からと聞いて五時まで待った。
帰る時間が遅くなることは分かったが、もう二人ともその事には触れなかった。
黙って海を見て待った。
みるみる時間が経つ思いだった。
甘い沈黙の時間であった。

食事を終えたのは六時に近かった。
外へ出ると、夜であった。

もちろん、家へ電話を掛けた方が良かった。
敬子はしかし二人の時間の中で、家の者の声を聞くことが何故か頑なに嫌であった。

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雄一「馬鹿に黙っちゃったな」
敬子「そうですね。 何かお話しましょうか?」
雄一「お母さんに叱られますね、今日は」
敬子「平気です、そんなこと」
雄一「本当に随分遠くまで来ちゃったな」
敬子「でも楽しかったわ」
雄一「ラジオでも点けましょうか?」
敬子「いえ、このまま。 このまま車の音だけの方が」

雄一「じゃあ、何か喋って下さい。 何でもいい」
敬子「ふふっ・・・。困るわ。上手じゃ無いんですおしゃべり」
雄一「そうだな・・・あなたの夢は何ですか?」
敬子「夢?」
雄一「これからしたい事ですよ。女の人ってどんな夢を見るんだろう?」
敬子「・・・(困惑)」

マズイ事を言った、と雄一は思った。
自分たちが避けていた話題ではないか。
敬子もつい口を閉ざした。
夢を語って二人の恋に触れぬ事は出来ないのだ。

横浜に着くと十一時を過ぎていた。 少し寒かった。

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雄一「じゃあまた。今日は本当にありがとう」
敬子「楽しかったわ・・・ありがとうございました」

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初めて抱擁しあう二人。
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3人家族  その6 [3人家族]

第19話
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健(あおい輝彦)と明子(沢田雅美)の大学受験の朝。
一日かけてあちこちの神社をまわったハル(菅井きん)がお守りを沢山持ってくる。

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朝食中に歴史のおさらいをする明子。
「こういう時にちょっと見たのがパーンと出ちゃう事があるから試験てのは
 面白いのよ」。  確かにそういうことはありますね。

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今日の手伝い先のお社に健の試験が上手く行くように祈るハル。
仕事中にハミングする鼻歌は「恋の季節」。

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ハルにこれまでの感謝、ということで横浜中華街で食事しつつ、それとなく
再婚の意志が無い事を伝える耕作(三島雅夫)。

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先日の休日にキク (賀原夏子)をひとりにしたことの埋め合わせで
食事に来た稲葉一家と鉢合わせ(笑)。


第20話
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今日あたり、海学留学試験結果の内示がありそうだ、と落ち着かない雄一(竹脇無我)。
ハルが来ない事を寂しく感じる健たち。

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部長から合格を告げられる雄一。 しかし赴任地の決定は遅れているという。

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昼休みになって、初めて雄一は合格を喜んだ。
突然、世界が大きく広がる思いであった。

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もう一人、知らせたい相手がいた。
雄一の足は単純に敬子の方に向いた。

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しかし合格は少なくとも2年間の敬子との別れを意味してもいた。
それを率直に敬子が喜ぶはずが無かった。

いや、雄一自身、そのことが心に拡がると足がゆるくなった。
いくら興奮からとはいえ、単純に知らせに飛び出した自分が分からなくなった。

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♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

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好きだからだ。
好きだからうれしい時に喜びを分かちたかったのだ。

雄一は初めて自分にも隠さず、敬子を好きだと思った。   
(ナレーション:矢島正明)


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明子から雄一の合格を知らされた敬子は動揺する。

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翌日、雄一にお祝いの電話をかけた敬子だが・・・。

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明子「大体、こんな馬鹿な話ってある?」
健 「うーん」
明子「私があなたのお兄さんに会った時、お兄さんハッキリ言ったのよ」
健 「好きだ、って?」
明子「そうよ。「うちのお姉さん好きだ」ってハッキリ言ったわ。
    そんなら合格したらいの一番に知らせるのが当たり前じゃない?」
健 「うん」
明子「私が教えるまで知らなかったのよ」
健 「うん」
明子「いい男ぶってるわよあなたのお兄さん。 あなたも少しそうなんじゃない?」
健 「八つ当たりしないで欲しいなあ」

それでも試験が終わった開放感から浮かれ気味の二人。
ボクシングの真似をする健。 後の「あしたのジョー」である(笑)。

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同僚の佐藤との飲み会をキャンセルして敬子と会う雄一。

雄一「考えてみるとあなたに会うべきだって」
敬子「会うべき、・・・ですか。 会いたいじゃくて・・・(笑)」
雄一「ははっ(苦笑)」

敬子「おめでとうございます、合格」
雄一「すぐ知らせないで・・・」
敬子「思ってましたわ、合格なさるって」
雄一「とにかく最低二年間、外国ですよ。
    そのまま何年向こうにいるか・・・考えてみると寂しい商売ですよ」
敬子「嘘(笑)」
雄一「え?」
敬子「本当はファイト満々、嬉しくてしょうがないんじゃありません?(笑)」
雄一「ははっ、意地悪だなあ」

赴任地がアフリカのカイロであることを告げる雄一。

敬子はカイロの良いところを話しつつウイスキーのピッチを上げる。
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雄一「そんなに急に飲んじゃ・・・」

敬子「お立ちになるのはいつなんですか?」
雄一「まさか四月って事も無いと思うんですが、前にはそんな例もあったとか」
敬子「どっちにしてももうすぐですわね」
雄一「ええ」
敬子「時々、お会いしましょうか?」
雄一「良いんですか、会っても?」
敬子「どうして?」
雄一「いや・・・」

敬子「私、あなたを好きにならないで良かった。
    好きになってたら二年間も会わないなんて我慢出来ないわ。
    結婚しちゃおうかな、なんて思うんです」
雄一「誰と?」
敬子「誰でもいいわ。面倒臭くなっちゃった、一人って」

雄一「仕事のために結婚しないなんて滑稽に見えるでしょうね。
    それも定年になれば辞めてしまう会社の仕事の為に
    結婚しないでいるって馬鹿に見えるでしょうね。
    流行りの言葉で言えばこんなに疎外された男はいないかもしれない。
    そう思われても仕方無いかも知れない。

    そんなんじゃ無いんですよ僕は。
    思い切り仕事をしたいんです。
    会社のためとか出世のためとかそんなんじゃ無くて
    自由に何処へでも飛んで行って仕事がしたいんです。

    それは誰かを愛したいと思う気持ちと同じくらいに男にとって
    強いものなんです。

    こんな風に思いたいだけかも知れない。
    とにかく一人ぼっち二年間ですからね。」

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敬子「お元気で」
雄一「まだ何度も会うじゃないですか」
敬子「会った方が良いのか会わない方が良いのか分からなくなりましたわ。
    どっちにしろあと二ヶ月足らずで二年間お会い出来なくなるんですね」
雄一「二ヶ月足らずか」
雄一「(うなずき)二ヶ月足らず・・・。」

3人家族  その5 [3人家族]

第17話
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受験校が2校では不安な健(あおい輝彦)は、雄一(竹脇無我)に内緒で4校
受験することを父・耕作(三島雅夫)に切り出す。
健の不安な気持ちを察して笑顔で了承する耕作はいいお父さんだなあ~。

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明子「大体、あなたのお兄さんだって失礼しちゃうわ」
健 「誰にさ?」
明子「うちのお母さんに「お姉さんとは友だちだ」って言ったんだって」
横浜・外人墓地。
明子「お姉さんしょんぼりしてんのよ。ご飯だって一膳で止めちゃうのよ」
健 「そうか。・・・君のお姉さんもしょんぼりなのか・・・」

会社で稲葉という女性が面会、と聞いてエレベーターで急ぐ雄一。
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♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪
彼女が受付で待っている。
電話もかけずにいきなり会社に来て、受付にいるというのだ。
それはこれまでの敬子とは違っていた。
雄一は何か差し迫ったものを感じた。

「友だちだなんてもうイヤです」
「好きなんですか?キライなんですか?」
「はっきりしたいんです私」

雄一もこんな状態から抜け出したいと思うのであった。
友だちだと言いながら、自分の恋愛感情を一向に始末できないことが
時には苛立たしかった。
敬子だって、たぶん、同じなのだ。
はっきりしたくてやって来たのだ。     (ナレーション:矢島正明)

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待っていたのは明子だった。

明子「お姉さんおキライですか?」
雄一「ううん」
明子「好き?」
雄一「うん」
明子「どの位?」
雄一「困るなあ、そういう質問は(苦笑)」
明子「率直じゃないわねー。どうしてパッパと行かないのかしら?」

海外留学中の2年か3年、敬子にとっては一番、縁談や恋愛する機会が多い時期を
一度も会わずに待っててもらう約束をしていいものだろうか? と雄一は問う。

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会社からの電話で耕作が会社を休んでいることを知る健とハル。
耕作は花月園競輪場(2010年3月31日に開催廃止)にいた。

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酔って帰宅した耕作。
定年がすぐ間近と知る雄一たち。

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健 「6レースって言ってたね」
雄一「うん」
健 「競輪かね?」
雄一「ああ」
健 「大きかったって言ってたね」
雄一「うん」
健 「寂しいんだね、お父さんも」
雄一「ああ」

雄一が野心を燃やし恋に悩む時、
健が初恋と受験生活を生きる時、
秘かに父には父の孤独な毎日があったことを
改めて思いがけない感情で2人は噛み締めるのであった。 (ナレーション:矢島正明)


第18話
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日曜日、敬子はドライブに出かけて行った。

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雄一たちが耕作が競輪場へ行ったことは知らないことにする、と聞いて
ハルは「それがいい」と賛成する。

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沢野は以前、敬子を撮った写真が1枚も写っていなかった、と言う。
沢野「つまり、僕にはあなたの影さえつかまえる事が出来ない。
   そんな辻占に思えて、しばらくはあなたがひどく遠い手の届かない
   人に思えて、はは(苦笑)、参った」

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かつて耕作の部下だった男が耕作に定年後の就職の話を持ちかける。

参考書の整理をしていた雄一。 開いたページにあの写真が・・・。
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♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

不意打ちであった。
雄一は抑えていた感情が制しようもなく迸るのを感じた。
愛している。
やはり自分は敬子を愛しているのだ。

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柴田家へ電話を掛け、敬子が誰かとドライブに行ったと聞かされる。

敬子はドライブに出たと言う。
ドライブに。

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誰と?
誰と?
誰とドライブに?

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誰と?
誰と?
誰とドライブに?       (ナレーション:矢島正明)

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沢野「僕が何をすると思った?
    飛び付くと思った?
    残念ながらそれほど若くはない。
    抑えられない感情なんて無くなったらしい。

    しかし
    たったひとつ気になることがある。
    あなたは黙っている間、誰か他の人のことを考えていた。
    そうですね?」
敬子「(うなずく)」
沢野「僕はその男を憎む。
    ・・・帰ろう、敬子さん」

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ひとりぼっちだった母の一日が、敬子は悔やまれてならなかった。
今日の私は何だったのだろう?
沢野の孤独を、
いや自分の孤独さえ弄んだ一日だったではないか?
孤独ならそれを紛らわせるだけではいけないのだ。
自分の孤独を正面から見つめなければいけないのだと
敬子は自分に言い聞かせた。

3人家族  その4 [3人家族]

第13話
会社が派遣する海外留学の一次試験に合格した雄一は、1月末の二次試験の
準備に余暇の全てを充てていた。
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敬子の入り込む余地は無かった。
取り残されたような気持ちで、しかし敬子は雄一を忘れる事ができなかった。

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明子(沢田雅美)は雄一は「野心家だから女の人を大事にしないのよ」と助言するが。
そういえば私も幼い頃はサツマイモをおやつに食べましたっけ。

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13年前に出奔した謙一がキクの前に・・・。 東電のマークが古い(笑)。

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敬子は、編み機?を使いながらキクの帰りを待つ。

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稲葉家を訪れた健は、見知らぬ男に小包を渡すように頼まれる。


第14話
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「妙蓮寺」駅で明子と待ち合わせた健は偶然、洋子とも会う。
機嫌を悪くする明子。

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沢野(中谷一郎)は海外で写真が認められ上機嫌。

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健の「敬子に会ったら?」という助言に
「独身が条件の留学を前にして恋人作る馬鹿がどこにいる」と言い放つが。

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それでも敬子に電話して会う雄一(笑)。

雄一は自分で自分のする事が分からなかった。
一体、自分にとって敬子とは何なのだろう?
恋人?・・・違う。 もちろん違う。
今の自分にはそんな暇は無いのだ。
しかし、自分のしていることはまるで恋人のする事ではないか?と雄一は思った。

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この甘い気持、甘い気分は抑えようもない、と雄一は思った。
             (ナレーション:矢島正明)

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13年前、37だった謙一(森幹太)は自分の人生がはっきり分かって
しまったような気持ちだった。
家族と勤め先と、それだけの世界で年を取って行く事に耐えられな
くなったのだ。


第15話
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明子(沢田雅美)が健(あおい輝彦)と会っている事を案じたキクが柴田家を訪れる。

キクに「お金を払わないお手伝いさんなんて」などと言われた父・耕作は大激怒。
(こんな温和なお父さんを怒らせるとは・・・最悪の顔合わせ(苦笑))

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敬子「それに・・・明日、試験だしね」
明子「試験? 明日?」
敬子「うん」
明子「あのね、お姉さん」
敬子「なあに?」
明子「お姉さんあたしのこと心配してくれたんじゃないの?」
敬子「え?」
明子「やだわ自分で言って気づかないの?」
敬子「?」
明子「お姉さん気にしてるのはさ、彼の兄貴の気持ちじゃないの?」
敬子「・・・あたし、何て言った?」
明子「呆れた。知るもんですか」
敬子「とにかく印象が悪くなったのは確かよね」
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明子「そっか・・・。お姉さんやっぱ彼の兄貴、好きだったのか・・・。」
敬子「そんな事あたし言った?」
明子「ええ言いましたとも」
敬子「ふ~ん、そんな事言っちゃったか・・・」
明子「好きなんでしょ?」
敬子「まあね」
微笑み合う2人。
明子「あ~、やになるわねお互いに」
敬子「うん(ため息)」
明子「お酒でも飲もうか?」
敬子「うん(ため息)」

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雄一「はぁ・・・(ため息)」
健 「どうしたらいいんだろ?兄さん。
   こうなって考えてると、なかなか良い子だったよ、あの子」
   僕が付いてないと、あの子、大学入れないよきっと」
雄一「ん・・・」
健 「どうしたの?兄さん」
雄一「うん?」
健 「兄さん! 何ボンヤリしてるのさ?」
雄一「(ため息)メチャメチャなのさ・・・」
健 「兄さんが?」
雄一「ああ」
健 「僕の問題で兄さんそんなショック受けたの?」
雄一「?お前の?」
健 「だって今日の事は僕の・・・あ、そうか!」
雄一「何だ?」
健 「兄さんやっぱりあの人好きなんだね?」
雄一「あの人?」
健 「彼女の姉さん」
雄一「馬鹿言え!」
健 「じゃあどうしてメチャメチャなのさ?」
雄一「うるさいよお前は!」
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健 「そんなら出てってよ、僕の部屋にいることないじゃない」
雄一「冷たいこと言うなよ」
健 「へへっ、兄さんもそう言うかね(笑)」
雄一「とにかく明日の試験なんてどうなるか分からないよ。
    やんなるよ、まったく」
健 「滅多に、お父さん、あんなに怒らないもんね」
雄一「うん・・・飲むか、酒でも」
健 「そうだね・・・」
健・雄一「(ため息)」

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ともあれ、留学試験は容赦無く行われるのである。
その大事を前にして、好きな人の母親と自分の父親がケンカをしたという事が
何だというのだ。
男子一生のチャンスの前には綿毛のように軽い出来事ではないか。
彼女が何だ。 恋愛が何だ。 そんなものは、そんなものは三年後まで待たせておけ。
雄一は繰り返し自分に言い聞かせた。    (ナレーション:矢島正明)

試験官に名前を呼ばれても気付かず、佐藤に「おい!」と注意される始末。
「はい!」
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第16話
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耕作に「出入り禁止だ」と言われたハルだが「寂しくてしょうがない」と
様子を伺いに訪れる。
(丸い筒状の掃除機が時代を感じさせますね)

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明子「そうそう、この間、電話で話したけどね」
健 「あー、お姉さんのこと?」
明子「お宅もそうなんだって?」
健 「えー、どうもね」
明子「うちのはね、はっきりそうなのよ。はっきりあなたのお兄さん愛しちゃってるの」
健 「言ってやったよ、だから」
明子「何て?」
健 「お姉さんが兄貴を愛してるってさ」
明子「そしたら?」
健 「余計なことだ、って。 勉強してろって」
明子「やだわ。それじゃうちのお姉さんが恥かいただけじゃない」
健 「ううん! 兄貴その後ずっと考え込んじゃってさ、ラブソング歌って夜中に散歩に行ったんだ」
明子「ははっ」
健 「つまり愛し合ってるのさ」
明子「良いと思う?」
健 「そりゃ良いさ、君のお姉さん絶対だもん」
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明子「どうせあたしはねっ」
健 「すぐそんな事言うー。 問題はうちの兄貴さ」
明子「問題って?」
健 「仕事本位だろ? 好きだって抑えちゃうほうだからね」
明子「ずいぶんあなたと違うのね」
健 「そうだ、やなヤツなんだ」
明子「でもいいとこあるじゃない?ラブソング歌っちゃうなんて」
健 「なー、強がったって若いからね」
明子「じゃ、あなたは何? 赤ん坊?」
健 「どうしてさ?」
明子「目の前にこんないい女の子がいるのに、トウモロコシばかり食べないでよ!」
健 「すぐ怒るんだからな、君は」
明子「つまんなくてしょうがないわよ」
健 「悪いとは思ってるんだけどさ」
明子「何さ二枚目ぶって」

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雄一「うちの親父はちっとも怒らない男なんです。それが怒鳴ったでしょ?
    正直言って、僕もあの晩、もうあなたには会えないのか、なんて思いましたよ」
敬子「寂しかったわ」
雄一「僕もなんだか寂しかったな。
    でも、考えてみれば僕とあなたがケンカしたわけじゃないし。
    どうってことはなかったんだけど」
敬子「本当に寂しかった?(笑)」
雄一「何だかね・・・変な付き合いだなぁあなたとは」

などと雄一と敬子が話していると沢野(中谷一郎)が割り込んで来る。

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沢野「厚かましい?はははは、そりゃ僕だってお二人が恋人同士なら
    こんな野暮はしませんよ。でも、そうじゃないんでしょ?」
雄一「ええ、もちろん」
沢野「敬子さんもそう言ってましたよ。ねえ、敬子さん?」
敬子「(困惑)それはそうですけど」
沢野「気が変わった?」
敬子「・・・いえ、そういうわけでは」
沢野「でしょ? だから貴方(雄一)はライバルじゃない。
    僕はこの人が好きなんですよ。だから他の男性の事が気になって仕方ないんだ。
    しかしともあれ貴方については安心なわけだ」

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耕作が戦争中は厳しい伍長だったと話す。
耕作「人間の信念なんて当てにならないもんさぁ。
    敗戦からこっち、どうでも自分の思った事を押し通そうなんて気持ちが無くなってね。
    子供に強い事を言っても言ってるうちに自信が無くなってね。
    まあ、こんな親にしてはよく良い子に育ったもんだ。健もね」

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敬子「だけどあの人は留学するのよ。独身が条件なのよ。
    あたしをどんなに好きだって・・・単純に好きだとは言えないのよ」
明子「留学する間、待っててくれって言えばいいじゃない」
敬子「2年間よ?
    行くとすれば四月か五月よ。 「好き」って言ったら2年間も離れちゃうのよ?
    人間の感情なんて当てにならない。そういう時に迷うのが大人の恋愛ってものよ」 

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キク「本当に恋人じゃないんですね?」
耕作「よしんば恋人だとしても何が悪いんです?」
キク「息子さんに聞いてるんです。 本当なんですね? 恋人じゃないんですね?」

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雄一「ええ。恋人じゃありません。友だちです。」

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 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

雄一は取り返しの付かない約束でもしたような気持ちであった。
友だち・・・。敬子は友だち・・・。恋人では無いのだ・・・。


3人家族  その3 [3人家族]

第9話
弟の健(あおい輝彦)に電話して敬子(栗原小巻)の勤務先を聞き出す雄一(竹脇無我)。
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敬子はその声に、はっと気が付くものがあった。
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あの青年だ。
あの青年の声ではないのか。

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しかし、こんな偶然があるものだろうか?
妹のボーイフレンドの兄弟があれほど度々会ったあの青年だなどとは。

動揺する敬子。

敬子「あの、もしもし」
雄一「はい、何でしょう?」
敬子「あの、もちろん今日お目にかかれば分かる事ですけど」
雄一「は?」
敬子「私達、前にお目にかかった事ありませんか?」
雄一「はあ」
敬子「ごめんなさい、妙な事伺って」
雄一「いえ、何度もお目にかかりました」
敬子「まあ」

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雄一「本当にどういう事なんでしょうか。健の友だちのお姉さんだなんて」
敬子「はあ」
雄一「じゃあ、六時半に」
敬子「は」
雄一「切ります。後ほど」

ついにレストランで顔を合わせる2人。

全26話中、やっと9話で2人は「あの人」では無く、お互いの名前を知り、偶然ではなく
顔を合わせるとは・・・すごいドラマだな~。
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雄一「弟の写真に、あなたが写っていたのには、全く驚きました」
敬子「(微笑)」
雄一「お会いしてみると、話す事は無いんでけど、何だかお会いしたかったもので」

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二人が一緒にものを食べるということが雄一には新鮮な経験であった。
しかし、話す事はあまり無かった。

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レストランのあたりから、二人は本当に黙りがちになった。
しかしその沈黙は苦痛では無かった。
一種の了解が二人の間を流れ、二人は沈黙の甘さに酔っていたりした。
(ナレーション:矢島正明)


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健 「何だか興奮してるね?」
耕作「案外、彼女が気に入ったんだぞ、あいつ」
健 「そうかねえ?」
耕作「うーん、だからあわててるのさ大声出して(笑)」
健 「そんなもんかねえ(笑)」

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「イッチニ!、イッチニ!・・・」
海外留学試験の一次試験が終わったばかりでもあり、落ち着こうと
体操などしてみる雄一。

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敬子「率直に言えばね、割りと気持ちの良い人だった事は事実ね」
キク「おや、そうかい(笑)」
明子「へー、お姉さん、初めて男性をほめたわよ?(笑)」
敬子「知らない!」
明子「あら、赤くなっちゃったわよ、赤くなっちゃったわよ」
キク「ほーんと、敬子、そんなに気に入ったの?(笑)」
敬子「知らないったら、知らない!」

第10話
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二人の仲が進展しない事を気遣う明子(沢田雅美)は
「あと3日以内にデートに誘わなかったら、姉は相手にしないと言ってる」
「あなたとも絶好よ」と、健をおどす。

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雄一は海外留学試験に受かれば2年間の留学だが独身が条件である事などを話す。
試験がダメでも何とか営業部へもぐり込む、などと仕事の話に終始する雄一。

敬子「(笑)それじゃあ、一生、ひとりでいらっしゃい(笑)」
雄一「それも寂しいだろうなきっと」
敬子「寂しいもんですか。あなたならきっと平気でのうのうしてると思うわ私」
雄一「そうなったら、時々、おにぎりでも作って来てくれますか?」
敬子「とんでもない。知らん顔。」
雄一「はは、冷たいな」
敬子「冷たいですとも。 私はさっさと幸せになってますから、どうぞお一人で
    重役にでも社長にでもなってください(笑)」
雄一「どうぞお一人で、か(笑)」
敬子「ええ、どうぞお一人で(笑)」

 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

昔、金に困っていた知人から、なけなしをはたいて買ったという家の屋根から雨漏りが。
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耕作「しかしこれがお父さんの一番大きな買い物ってわけだ。要領悪いよ全く(苦笑)」

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健 「お父さんの残したものはもっと素晴らしいものがあるんじゃない?」
耕作「んー?」
健 「やだなぁ気が付かなくっちゃ。 僕だよ、僕と兄さん」
耕作「ははは」
雄一「馬鹿っ。 何がお前が素晴らしいんだ」
健 「素晴らしいじゃないこんなに」
雄一「どこがだ?」
健 「愛想が無いね、この兄貴は」
耕作「まあ、そう思っておけば気も済むか(笑)」
健 「そうですよ、ほら、こんなにたくましいじゃない(笑)」
雄一「何を言ってるんだ(笑)」



第11話
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ウキウキとクリスマス・ソングを歌って薬屋へ向かい、洋子にプレゼントを渡した健だが
「私、好きな人がいるの」と返されてしまう。

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稲葉家で明子たちと過ごした健。 敬子に高価な花が送られて来た事を話す。
「高い安いは関係無いよ!贈る気持ちはウソじゃないよ!
 でも、嬉しそうじゃなかった」 

この時代、カトレアが15,000円とは現在だといくらなんでしょう?

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何かが欠けているクリスマスであった。
何が欠けているかを敬子は知っていたが、その人の名前は思い出すまいとしていた。
柴田雄一というその人の名前は・・・。


第12話
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年が明けて受験勉強に精を出す健と明子。

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沢野(中谷一郎)からの強い愛情表現に一人で抗し得るか不安になった敬子は
雄一を呼び出して相談してみるのだが・・・。

これ程までに、自分を抑えなければならない恋愛とは何なのだ。
恋愛が全てだとは思わない。
だからこそ、雄一の仕事本位の生き方を認めているのだ。
忘れようと努めているのだ。
しかし、自分にとって、他に何があるだろう?
とはいえ、仕事に熱中する彼に自分への愛を求めることは
ひとりよがりにも思えるのだった。
敬子は分からなかった。                    
(ナレーション:矢島正明)


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「会って、何となく楽しかっただけ・・・してないわ恋愛なんて。」
明子の前では強がっって見せてしまう敬子。

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雄一と佐藤は留学試験の一次試験に合格した。
二次試験の面接を前に「負けまい」と思う雄一。

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敬子は雄一の事を考えていた。
もし彼が今日、合格していたら、彼の心はますます自分から遠くなっていくで
あろうと思っていた。
そう思うと敬子の心には雄一の不合格を願う気持ちがふっとかすめるのであった。

3人家族  その2 [3人家族]

第7話
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11月17日(日)、健(あおい輝彦)は明子(沢田雅美)・敬子(栗原小巻)と江ノ島へ。
雄一(竹脇無我)は海外留学試験。

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試験後、同僚と「人間の価値は何で決まるか?」と話し合う。

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耕作「他人の気持ちにどこまでなれるか?という事じゃないかな」。
雄一「思いやりか・・・」。

健が今日会った友人の姉がすごい美人で気持ちのいい人だった、と話すが
雄一は「浪人のくせにキャメラを持って江ノ島か」と呆れる。

第8話
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お手伝いのハル(菅井きん)が昼飯にビフテキを作り、1枚200円か、と健はボヤく。
待望の電話が設置され、喜ぶ健。(当時の200円は現在の600円くらい?)

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健 「良いでしょ?」
雄一「! お前、こ、これ・・・」
健 「へへへ、驚いたでしょ?」
雄一「誰だ、この人!」
健 「オーバーだな、友だちのお姉さんですよ」
雄一「友だちの!?」

いったい、これはどういう訳なのだ?と雄一は思った。
もちろん偶然だ。
しかしこれほど度重なる偶然がこの世にあるものだろうか?

街で幾度も会った。 電車の中でも会った。
そして確かに心を惹かれた。
しかし雄一はそれ以上、彼女に近づこうとはしなかったのだ。

それがどうだ。
またしても偶然が、彼女を彼に引き合わすのだ。
まるで神のしわざ、いや、神のいたずらではないか。   (ナレーション:矢島正明)

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健 「でもさ、気に入ったんなら会ってみたら?」
雄一「会って・・・どうするんだ?」
健 「結婚さ」
雄一「馬鹿!そんな暇があるか!」
健 「だからヤになるよ、兄さんは」

雄一「とにかく、コースに乗るまでは仕事以外のことは考えないんだ」
健 「コースって、出世コース?」
雄一「そうさ。サラリーマンだからな俺は」
健 「何だか知らないけど、もったいないと思うけどな僕は」
雄一「女なんていくらだっているさ。」
健 「そうかな~? こんな人、滅多にいないよ? ほら(と、写真を雄一に見せる)」
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雄一「うるさいなお前は! 何だよこんなの!」
健 「んな事言いながら見とれてんじゃん(笑)」
雄一「ニラんでるんだよ、(写真を放って) こんな女!」

雄一「会ってたまるか、こんなのに!」

 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

言葉と裏腹に、雄一は彼女に会いたいと思っていた。
「変な痩せ我慢は止めようではないか」もう一人の雄一がささやくのだった。

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「そうだ、やっぱり会ってみよう」
会って、本当に素晴らしい人かどうか、確かめてみるのだ。
それでなければ彼女の美しさが心の中に拡がるばかりだと雄一は思った。


3人家族 (1968/10/15~1969/04/15) その1 [3人家族]

「3人家族」(全26話)
●BS11 http://www.bs11.jp/drama/1969/
●CSチャンネル銀河 http://www.ch-ginga.jp/epg/?series_code=5303

「二人の世界」(全26話)
●CSチャンネル銀河 http://www.ch-ginga.jp/epg/?series_code=5421
●BS11 http://www.bs11.jp/drama/2192/

俳優の竹脇無我さんが2011年8月21日に亡くなられました(満67歳没)。
ご冥福をお祈りします。
竹脇無我さんのドラマで好きだったのはTBS「木下恵介アワー」の「3人家族」。
土曜日の昼の再放送をよく観ていました。
(キャスト)
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横浜に住む商社マン(竹脇無我)と航空会社勤務の女性(栗原小巻)が街で度々出会う
うちにお互いに心惹かれ合うのですが。

第一話
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街で行きずりに美しい人を見る。
あなたが女ならどんな男性に目がとまるのだろうか?
しかし誰もそれを大げさに考えはしない。
それだけの事。 
十歩も歩けば忘れてしまうこと。
好ましい人。 若々しい男。 
しかし見知らぬ人。 
二度と会う事もなく。
だが、彼女だけは例外だった。
彼女だけは・・・。 (ナレーション:矢島正明)

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 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

奇妙な偶然だが、雄一は短い間にその女性を3度観たのである。
ちらりと見たに過ぎない3度の偶然。
雄一の記憶には意外な根強さで残っていた。

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第3話ラスト、新橋でのスレ違い。 観ていて思わず「ああっ!」と声が。
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2人が初めて会話をするのが何と第4話のラスト! 満員電車の中(笑)。
さすが山田太一の脚本、焦らせるじゃあありませんか。
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そしてあの朝が来た。
敬子と雄一が初めて言葉を交わした、あの朝が来たのだった。

雄一「あっ!」
敬子「!」

 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

雄一「混みますね、毎日」
敬子「本当に」

奇妙な出会いであった。
行きずりに幾度か遠く目にした相手と、いきなり抱き合うようにして
向き合っていることがおかしかった。     (ナレーション:矢島正明)


第5話
雄一の前に彼女の髪があった。
微かな香料と、娘の髪の甘い匂いが優しく彼を包み込んだ。
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敬子は背広の匂いがすると思った。
ナフタリンとタバコの匂いが、彼女を混雑から控え目にかばっていた。
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川崎から品川までの12分間、二人はほとんど動かず口も利かなかった。
雄一は心に何か急き立てるものを感じていた。

黙っていていいのか? 何も言わずに終わっていいのか?

しかし話しかけてどうなるというのだ?
自分は今、忙しいのだ。
気に掛かる人など出来て気が散るのは困るのだ。

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品川ではかなりの人が降りた。
車内は大分、ゆとりが出来たが雄一は敬子との距離をあまり開かなかった。

敬子はそれが嫌ではなかった。
それにしても、この青年は何と無口なのだろう?
内気なのだろうか? 普通の若い男性はこんなものなのだろうか?

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敬子「お降りになるのは、新橋?」
雄一「ええ」
敬子「まえに新橋で・・・」
雄一「そうでした。 乗り損なった電車に、あなたが乗ってましたね。
    その前にも何度かお会いしました。・・・本当に何度も」
敬子「ええ」

今日で五度目だと敬子は思った。

雄一「今日は七度目だな」
敬子「そんなに?」
雄一「確かに七度目」
敬子「誰かのいたずらみたいに何度も」
雄一「ええ」
敬子「どうしたんでしょう? こんなにお会いするなんて」

応えが無かった。

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敬子はその沈黙に自分を拒む意志のようなものを感じた。

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雄一は自分を抑えていた。
会話がたちまち恋のやりとりめいて来る事に驚いていた。

いけないいけない、今月の17日には留学試験の第一次、
試験に合格すれば独身が条件の2年間の海外生活。
それだけが今の自分の目標なのだ。

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敬子「お勤めどちらなんですか?」
雄一「田村町です」
敬子「あたし霞ヶ関です」
雄一「はぁ」
敬子「またお会いするかしら?」
雄一「さあ・・・、会うでしょう、近いから」
敬子「そうですねきっと」
雄一「じゃあ」
まるで逃げるように足早に去る雄一。
敬子「・・・」

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「私なんか眼中に無いのかしら? 好きな人がいるのかしら?」
あの青年の事ばかり考えてしまう自分が腹立たしかった。
翌日から車両を変えてしまう敬子。

彼女は怒っているだろうか?と、雄一は思った。
しかし、他にどうしようがあったろう?
あのまま甘い会話のやりとりを続ければ
自分は次に会う日を約束してしまったかも知れない。

美しい人だ。
だが、今、恋愛は困るのだ。 試験があるのだ。 留学があるのだ。

そう思いながら昼休みになると雄一の足は霞ヶ関の方へ向かっていた。
彼女は勤め先を霞ヶ関だと言った。
官庁だろうか? どこかの会社の秘書だろうか? あるいは洋装店のデザイン員?

雄一には見当が付かなかった。
女の人を知らなかった。
どこへ置いても彼女は似合うような気がした。

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一体、自分は何をしているのだ、と雄一は思った。
初めて言葉を交わした女性に冷淡な態度を取ったからといって
それが何なのだ。
もう一度会ってどうするというのだ。
昨日は冷たくしてごめんなさい、などと言ったら彼女は何の事か分からず
笑い出すかもしれないではないか。

どうしたというのだ。 なぜこんなに彼女の事が頭を占めるのだ。
今はそれどころでは無いのに。 試験なのに。
いわばビジネスマンとしての一生に関わる試験があるというのに
この気の散り方はどうしたんだ。

第6話
昼休みに同僚の孝子(原田あけみ)を誘って日比谷公園に来た敬子。
「名前も勤め先も住まいも知らない」と言う敬子に「若くてハンサムなのね」と
見抜く孝子。
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雄一「!」

♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

まずい時に会った、と雄一は思った。
明後日なら声を掛けに立ち上がるだろう。
しかし今日は困る。
明日の試験を前にして、彼女の事で頭が一杯になるのは困るのだ。

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大袈裟に聞こえるかもしれないが、この世にあれ程、美しい人がいるのに
ソッポを向いて勉強に励む事が、ひどく虚しい気がするのだった。

敬子も青年の事を考えていた。
忘れる事に決めたはずなのに、何故、自分は今日、田村町へ足を向けたのだろう。
そう、敬子にも心の飢えがあるのだった。         
穴の空いたような寂しさが、絶えず心の隅にひっそりとあるのだった。
(田村町=現在の港区西新橋)
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二枚目で渋い声の竹脇無我と、それこそ花のように可憐な栗原小巻。
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私は小学校低学年でしたが、このドラマで当時の言葉でいうところのコマキストに
なりました。
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そして森繁久彌と父子を演じた人気シリーズ「だいこんの花
(1970年10月22日‐1970年12月24日)。
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(ノートに貼ってあった最終回の写真)
息子の誠(竹脇無我)の妻(いしだあゆみ)の妊娠が分かり、忠臣(森繁久彌)の
つぶやいたセリフ。
「一人の人間が年老いて、もう生きることにあきるころに、
                   次の命が芽生えてくるんだね」。
こちらの脚本の向田邦子もさすがです。

P.S.
nsa さんに教えて頂きました。「3人家族」DVD-BOXが発売されるようです。





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